7月18日 −研究情報・風林火山
|
風林火山 新潮文庫
井上靖 著
武田信玄の軍師・山本勘助の物語。由布姫への崇高なまでの思いが、よく伝わってきます。隠れた逸品です。
|
一般的に風林火山として知られているあの言葉は、実は続きがあったそうです。もともと「風林火山」という言葉が中国の孫子によるものだということを知る方も多いと思いますが、その続きを知っている方は少ないのではないでしょうか。かくいう私もその一人でした。
其疾如風 |
その疾き(はやき)こと風の如く |
Let your
rapidity be that of the wind, |
其徐如林 |
その徐か(しずか)なること林の如く |
your
compactness that of the forest. |
侵掠如火 |
侵掠(しんりゃく)すること火の如く |
In raiding
and plundering be like fire, |
不動如山 |
動かざること山の如く |
is
immovability like a mountain. |
難知如陰 |
知り難きこと陰(やみ)の如く |
Let your plans be dark and
impenetrable as night, |
動如雷震 |
動くこと雷の震う(ふるう)が如し |
and when you move, fall like a
thunderbolt. |
これをそのまま用いるとすれば、『風林火山陰雷』でしょうか。信玄が引用したのは、最初の4つだけだったことになりますが、たしかに残りの2つは『林』と『火』とに重複していないともいえません。信玄のセンスで風林火山の4文字にしぼったのでしょう。収まりも4文字の方がしっくりきますね。
ただ、甲府にこの風林火山を取り入れたサッカーチームがあるのですが、こちらは2文字を引用しているだけなんです。「ヴァンフォーレ甲府」というJ2で頑張っているチームですね。「ヴァン=風、フォーレ=林」というそれぞれフランス語です。私としてはここに攻撃のために『火』と、どっしりとした守備のために『山』が加わればもっと強くなるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
【風林火山と孫子の兵法について】
■風林火山・・・名言や故事成語をわかりやすく解説しているページの中にある風林火山の解説です。
・もうすこし詳しい解説はこちらのページがいいですね。
■雲峰寺・・・宝物館には、武田家の家宝「日の丸の御旗」、「風林火山旗」「馬標旗」など、武田家滅亡のおりに、家臣が再興を期して、山伝いに運んだ歴史的資産があるそうです。画像があります。 ■「孫
子」十三篇 ・・・書き下し文と英訳文があります。
【映画・風林火山】
■風林火山(1969年)−Amazon.co.jp
・
・・今日のコラムのトップにある井上靖の小説を映画化したものです。三船敏郎が主演し、なんと石原裕次郎も出ています。
・三船敏郎オフィシャルサイトにある映画『風林火山』のページです。スクリーンショットが一枚あります。
・石原プロモーションのサイトにある映画『風林火山』のページです。やはりこちらもスクリーンショット
(馬に乗った謙信役の裕次郎)が一枚と、あらすじ紹介があります。
■風林火山(1992年)−Amazon.co.jp・・・日本テレビ系列で年末の時代劇スペシャルとして放送されたものです。里美浩太朗、舘ひろし、古手川祐子、池上季実子ほかが出演しているそうで、人気もあってかDVD化されているようですね。
【書籍・孫子の兵法-Amazon.co.jpで買える本】
■新訂 孫子・・・この本は孫子に関係するものでも常に上位にありますね。おさえておきたい一冊です。
■「実戦」孫子の兵法
・・・『新訂 孫子』が分かりにくい場合には解説が詳しいこちらがいいようです。 ■まんが 孫子の兵法・・・それでも、一番手軽なのは漫画でしょうか・・。
おまけ
■武田氏の旗指物・・・合戦の際に「風林火山」とかかれた孫子の旗が掲げられたのは有名ですが、そういう合戦のときに活躍していた「むかで衆」の旗の画像があります。 大河ドラマ・武田信玄<総集編>や影武者でみた記憶がありましたが、なるほど重要な役割を果たしていたんですね。
■ヴァンフォーレ甲府 Official
Web Site・・・コラムで紹介した甲府のJ2サッカーチームです。
|